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内定取消のトラブルを回避するために定義を整理しよう

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コロナ禍が起き、2020年新卒人材はもちろん21年新卒の内定取消がにわかに起こっています。市場の動きに敏感な労働環境ですので、このような動きは予見可能な話ではありますが、さりとて大学生の方々や新卒採用の候補者からすると、一大事だと思います。その際に、企業側も働く人もきっちり確認をしておくことがあります。それは「そもそも内定とは何か?」を理解しておくことです。

そもそも内定ってなんだ???

まずは内定という言葉が現れる流れ(フロー)を確認します。意外とここが混乱している人が多いと思います。

「内定」という意思(法律では、この「意思」とは「契約をしようかなぁ」という、契約に準ずる行動を駆り立てる「思い」を指します)が企業側から発生しないと、そもそも内定がどうのこうの、という話は生まれません。だから、どういう流れで内定者とか採用者が生まれ、雇用がスタートするのか?を考えておく必要があるのです

そこで、内定の定義を以下に示します。

「始期付」「解約権留保付」労働契約 = 内定!?

内定とは
条件(1)「始期付」 雇用を開始する日付が決まっている(例:2021年4月1日から など)
条件(2)「解約権留保付」 労働契約に「解約権」(つまり「やっぱり契約しないよ」と言える権利)がくっついています

この2つが、重要な条件なのです。

これを見て、特に条件(2)が「えぇ?! 内定取消するかもよ、って契約なのかよ!?」と思う学生もいるかもしれませんが、よく考えましょう。景気がいいときは「内定辞退」ってのをした先輩もいました。「すんません。やっぱり他社へ行くので、この会社で働くのは無理っす」みたいな。

だから「解約権留保付」は、お互い様なのです。景気がよければ、従業員側が行使し、景気が悪ければ、企業側が行使します。従って内定取消を法令違反だとか契約違反だと言うのは、実はちょっとお門違いなところもあります。(配慮が必要という意味は、ここでは省きます)

ちなみに民法では、停止条件・解除条件というものが認められています。
(1) 停止条件:法律行為の効力の発生が将来発生するかどうか不確実な事実にかかっている場合を停止条件といいます。

例)「大学に合格したら、おこづかいをあげる」という約束をした場合、「大学に合格したら」という部分、または、「合格する」という事実 が停止条件にあたります。

(2) 解除条件:法律行為の効力の消滅が将来発生するかどうか不確実な事実にかかっている場合を解除条件といいます。
例)「今通っている大学を退学したら、仕送りを止める」という約束をした場合、「今通っている大学を退学したら」という部分、または、「退学」という事実が 解除条件にあたります。

外国人の場合は(1)に「在留資格の取得」が含まれます。そのほか、運転士さんなどでは「免許の取得」なども挙げられるかもしれません。停止条件も雇用契約書や内定に含むことは、ごく一般的です。

内定の受諾→採用の決定(契約成立)→雇用の開始

このような流れとなることを、企業も学生も確認しておきましょう。今回のようなコロナ禍は、特殊な外部環境ですが、バブル崩壊の時にも同じような事象が起こりました。他方で、今までの採用環境の方が、学生に有利で少し特異な状況でもありました(バブル期に似ているので)。従って、今から30年前と同様の状況に今後陥る可能性があると同時に、働き方が大きく変異する令和の時代において、そもそも働き方が旧態依然とした企業に所属することが、長い目で見て正しい選択なのかどうか?考える良い機会と時間を与えられたとポジティブにとらえてみると、企業も求職者も、先が明るくなります。

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