放送局裏話

敵は本能寺にあり

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放送局の人間は元来、物を売ったことがありません。
「なんだと?営業部があるじゃないか?電波を売っているじゃないか!?」と言われそう。
何が言いたいかというと、元来売っている電波だって、
放送免許という乳母日傘に守られている中で商売している、いわば法外な取引なんです。
さらに言えば「仕入」がない。「加工」がない。「在庫」がない。「繰越商品」もない。
つまり「無」から「権利」を売っているわけです。それがCMの枠です。
さて、そうは言うものの放送局では、今後のデジタル化に伴う大量の設備投資・・・
さらには視聴者・聴取者の分散化に伴う、放送媒体そのものの価値の低下・・・
などで、広告収入が減少するであろうことが、方方で予測されています。
NHKに至っては、今後の人口減から受信料が減少することを予測していまして
新しい収入形態を模索しない限り、協会の存続そのものが危ぶまれるわけなんです。
ということもあり、現在ボクが所属している部署は「事業」をしろ!と言われているトコなんです。
つまり「商売をせんかい!」というわけです。
やっと普通のサラリーマンになっちゃったってとこでしょうかねぇ。
例えば催事を打って、その会場で誰かに何らかの商売をして、
総売上の歩合をいただくという感じですな。売り物はサマザマですけど。。。
ドロ臭い「売りの現場」で「利潤追求第一」という目標に向かって、
さまざまな会社の方と一致団結して、事業企画に臨むでいくわけです。
ところが。
こういうイベントなんかの企画を、放送媒体を持つ自分の会社がバックアップするのは
当たり前のはずなのに、セクショナリズムからか協力を得られないパターンが多いわけです。
ゆえに「敵」は社内、「敵」は「本能寺」にいるっちゅうわけですたい。
まぁ積極的に協力を得られないというよりかは、無関心だという方が適当かもしれません。
「商売に無関心」であり、「利潤を追求することに無関心」というわけ。
主に無関心なのは番組制作現場の方々がほとんどなのです。残念ながら・・・。
「人が集まればいい」「面白ければいい」という考え方が番組制作の現場には根強く残っています。
もともと自分がいた部署・現場であるだけに、とても批判するのはつらいところですが、
10年前と変わらない価値観で現場に社員がいるというのは、
やっぱり時代についてきていないという印象を受けてしまうのです。
「売り物にマージンを乗せて売るなんて・・・」
「盛り上がりを見せればそれでいいのでは・・・」
こんな声を制作現場の上長から聞くから驚きです。
「予算を使う」だけの部署では、「稼ぐ」ことへの感覚がないのは、当然かもしれません。
でも・・・。
イベントを一発打つに当たり「収支」は必ず問われます。株式会社ですから当たり前ですよね。
赤字を出すために事業をするわけじゃないもん。どの会社でも常識なんだけどなぁ。
同じことが、実は彼ら制作現場の実情、番組制作にも言えます。
視聴率を高い率で保つために、番組予算が赤字になってもいいという根拠はないんですね。
10%の視聴率を保って、年間に1億円稼いでも、
制作費や人件費など含めて1億円以上支出があったら、全く意味がないわけでして・・。
そりゃ、ステーション全体の視聴率の底上げになりました!なーんて言い訳はできますけどね。
そんなの、後付の言い訳で、現場が言うことじゃない。赤字出してるのは事実だから。
イベントで言い換えるならば「赤字でしたけど、予想以上の動員を記録しました!(招待券だけど)」
ってノリになんじゃないかなぁ?そんな言い訳通らんもんなぁ。赤字は赤字やもん。
映画の興行収入、ネット収入、催事売上収入、出版物収入などなど、
放送局の収入形態は複雑に、そして地道に活動しないと入らないようになります。
こういうことへの関心、そしてどうやったら売上を増やせるか?というマーケティング論を
学ぶことも番組制作現場は重要なんじゃないかなぁ?赤字出してる身分ならさ。
事業を営むボクの職場の要望を通さないセクショナリズム。
まさに敵は本能寺にありって感じを受けています。
でも理解を得られないと、会社そのものが潰れるんだけど。
そろそろ気づいてほしいよなぁ。そろそろ勉強してほしいなぁ。いろんな意味でさ。
お恥ずかしい地方放送局の現状の一部をお伝えしてしまいました。やれやれ。

もともと商売人の息子でして
お金への執着を人一倍あります。
「○○円稼ぐのにどれだけ大変な・・・・があると思っているのか?」
そんなことをよく昔言われました。殴られたこともあります。
商売を卑しいことと捉える昔ながらの風潮が、どこにもあります。
番組制作って一見すっごいクリエイティブな現場に見えます。
確かにそう。クリエイターですよ。
でもだからって商売に関心を持たなかったり、卑しく見たりするのは間違っていると思うな。
だったら、自分で稼いで自分の稼いだお金だけで生きてごらんと言ってやりたいもん。
サラリーマンという乳母日傘、免許という乳母日傘。 そろそろとっぱらわんとな。

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コメント

  1. その通りだね より:

     全くもってその通りだね。
     マスコミ系はどうもそういう傾向が強い。
     人のことは批判できる身分じゃないけど、そろそろ考えていかないといけない時期に来ています

  2. Ichi より:

    こんにちは、Ichiと言います。
    僕は今日「君が好き」というプログを始めました。
    良かったら遊びに来てください。
    それで、突然で申し訳ないのですが、ippeiさんにお願いがあります。
    今日、ippeiさんとNさんが映画会社に対する出資についてお話しているのを拝見しました。
    僕はいま映画ビジネスをテーマにした卒論を書いているのですが、文献だけではなく、実際に関わっている方のお話も取り入れて、最高の卒論にしようと思っています。
    もしippeiさんがよろしければ、これからお話を聞いていきたいのですが、どうでしょうか?
    もし付き合っていただけるのでしたら、お返事お願いします。
    突然のお願い、失礼しました。

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