放送局裏話

放送局経営のリスク 電波利用料値上げ検討

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日経新聞でも扱いが小さい記事でしたが、こんなのがありました。。

 

電波利用料値上げ検討 総務相、放送局対象に [2007.05.05]

ドイツ訪問中の菅義偉総務相は4日午後(日本時間同日夜)、ウィースバーデンで同行記者団に対し、放送事業者の電波利用料を値上げする方向で見直す考えを表明した。菅氏は「受益者負担の関係から、大幅な見直し を図っていきたい」と強調した。
 

またNHKの受信料の引き下げ論議に関連し、受信料支払い率の算定基準となる世帯数や事業者数など基本的なデータを検討する研究会を月内にも設置する方針も明らかにした。電波利用料は2007年度の見込みで、民放とNHKの支払いが約38億円なのに対し、国側の放送関係の歳出は約212億円。菅氏は「放送局は高給だという批判もある」とも指摘し、電波利用料の値上げは可能との認識を示した。【ウィースバーデン(ドイツ西部)4日共同】

 

ヨーロッパ訪問中に、言いっぱなしで発言する菅総務大臣という人に、ずるがしこさも感じますが、まぁ遅ればせながら出てきた話でもありますね。共同の配信に対し、日経ですら扱いが小さく 放送局のニュースでは見かけていません。しかしこれは大変重要な問題だと思います。

 

今まで、放送局がいかに国と国の作る制度によって守られてきた規制産業だったかこの話を見れば一目瞭然です。もちろん理由はあります。日本国民への情報発信という、統治において非常に重要な媒体を一般産業と同様に自由競争社会へ置くことが、非常に危険だったからです。20世紀は…。

 

でも21世紀は…インターネットが普及し、すべての人が情報発信する術を持ち、メディアリテラシーが浸透し、放送局の発信する情報だけに踊らされない人が徐々に増えてきています。それゆえに広告料が減り、番組制作費が減り、結果としてコンテンツを配信する側のリテラシーが減退し、捏造を繰り返し、ますます媒体価値を落としていく…。 

 

これが今の放送局にはびこる中長期の負のスパイラルです。それでも放送局の経営者はこの流れに気づきません。気づいている人は目を覆います。それでも電波は強いと根拠のない自信を持っています。その根拠のない自信が根底から揺らぐ、唯一にして最大のリスク。

 

それが今回の総務省の見解でしょう。菅さんの発言にはすでに放送局を見限り携帯電話業界を中心とした新たな通信網への期待が垣間見られます。そうじゃないと「給与が…」なんてことまで発言しないでしょ。電波利用料は放送局が抱える大きな固定費の1つです。固定費がガツンとのしかかると、粗利が大きく減るので経営では本当に悩みの種となります。しかも今の放送局においては、削減するコストがありません。1つを除いて。

 

大きく手を付けられていない放送局の固定費。それは社員の人件費です。おそらくそこに手を付けてるでしょう。自分への役員報酬を減らすことなく。社員の人件費を減らし、番組制作にかかるすべてのソフトに関する経費を減らし、そしてデジタル機器という大きな固定資産だけを多数抱える。今後数年で決算書がどう変化するか、とても気になるところです。

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