あるメールマガジンより

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日ごろ、知り合いがどんなメルマガを購読しているのか?
無性に気になることがあります。
で、僕がいつも読んでいるのは「大前研一ニュースの視点」
ってやつです。毎度毎度、面白くてヒマを見つけては読み返しています。
そんなある日、自分の業界の話が出た。そしていつも以上に考えさせられる内容だった。
大枠は僕が常日頃訴えている内容どおり。顧客満足に至らない放送局の現状を厳しく突いた
スクリプト。以下に、すべてコピペします。あなたはどう思いますか?
【携帯・ネット・放送・通信の未来は?】
放送と通信の分離という考え方がナンセンスであることを示唆
●WOWOW スカパーに番組提供
WOWOWが「スカイパーフェクTV!(スカパー)」に
番組提供し、スカパー内にWOWOW専用チャンネルが
新設されるとの発表がありました。
スカパーでWOWOWが見ることができるとなると、
じゃあ地上波デジタルとかBSは一体何だったのか?
という話になるでしょう。
これまで日本では放送と通信を分離するという考えの下に、
BSとCSを分けた運用が適用されてきました。
元々スカパーはCS(Communication Satelliteの略)で
「通信」を目的とし、一方、BS放送は
BS(Broadcasting Satelliteの略)で「放送」を目的としています。
そして、ライセンス・許認可についても
BSとCSでそれぞれ別に必要になっています。
そのため、一般の家庭でBSを見るためにはBS用のセットトップボックス、
スカパー(CS)を見るためには、CS用のセットトップボックスを
用意しなければなりませんでした。全く迷惑で面倒な話としか言えません。
私は、昔から旧郵政省によるこのような放送と通信の
分離という考え方には意味がないと思っていました。
そして、いずれは通信が放送を統合していく時代が
来ることを述べてきました。
放送と通信を分けて考えること自体がナンセンスなのだと。
今回のWOWOWによるスカパーへの番組提供というのは、
それを如実に物語っている一例だと言えるでしょう。
いくら立て前では放送と通信の分離を唱えてみても、
もはや実態として無理が生じてきてしまったのです。
だから、なし崩し的にではありますが、両者の垣根が
なくなろうとしているのでしょう。
放送と通信という観点で言うと、先日発表された
NHKのネット配信のニュースを見たときにも、
私は日本の政府・国の対応に疑問を感じることがありました。
それは、NHKが保有する過去番組のインターネット配信を、
2008年を目処に開始する予定ということを竹中大臣が発表したということです。
NHKによる番組ネット配信には放送法の改定が必要になるから、
国・政府が全く無関係というわけではないでしょう。
しかし、それにしても、NHKというのは国民の所有物であって、
そのNHKの意向については、NHKが自ら発表すればよいのですから、
総務省が発表する理由はどこにもないと私は思います。
なぜ、NHKの放送について国が決めるのか、
全く意味がわかりませんし、私は強い違和感を覚えました。
●全てが一体化した媒体となり、パッケージ・サービスが必要とされる時代
放送と通信の一体化という波は、ブロードバンド化の流れに乗って、
携帯電話・インターネットという分野とも一体化していくことを意味しています。
例えば、先日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は
2007年を目処にインターネットを通じた映像配信事業に参入する
というニュースを発表しました。
インターネットを通じて映画や音楽などを配信していく
予定ということですが、これは明らかにTSUTAYAという自分のお店
そのものを否定する動きになっています。
インターネットで映画を観ることができるようになってしまうと、
わざわざ実際の店舗に足を運んでDVDやビデオを借りる必要が
なくなるのだから当然でしょう。
しかし、CCCは、取り立てて店舗経営に行き詰って
このような手を打ってきたわけではありません。
逆に、現在のところは、本などの販売も含めて
店舗経営は上手くいっていると言ってよいと思います。
それでもなお、ブロードバンド化の流れを考えると、
放送・通信とインターネットが一体化していき、
実際の店舗に訪れる人が少なくなるのは避けられないと考えた上で、
先手を打ってきているのだと私は見ています。
このような放送・通信とインターネット・携帯電話という
分野までが一体化していくという流れが
今後の主流になっていくのは、間違いないのではないかと思います。
そうして、これら全ての分野を1つの媒体として取り扱える
パッケージ・サービスを提供していくことが重要になってくるでしょう。
7日、固定通信の日本テレコム(ソフトバンク傘下)は、
倉重社長が代表権のない取締役に退き、
ソフトバンク社長・日本テレコム会長の孫正義氏が
社長兼最高経営責任者(CEO)に就く人事を決めた、と発表しました。
孫氏は、携帯電話のボーダフォン、ブロードバンド通信の
ソフトバンクBBと合わせ、グループの通信3社の社長を
務めることになります。
なぜ、このような人事が行われるかというと、
先ほどのCCCと根本的な理由は全く同じだと思います。
今後、放送・通信・インターネット・携帯電話という
分野を分けて考えることができなくなっていくという考えがあるのでしょう。
それぞれの分野ごとに別々の経営者をおくというやり方では、
これから求められるサービスに対応できないと判断した結果だと私は思います。
全ての分野を1つの媒体とするような一体化したサービスが求められるからこそ、
孫氏が陣頭指揮を執って、1つの方向性を示していく必要があるのでしょう。
放送と通信のみならず、インターネット・携帯電話までが
一体化していく流れは、今後もどんどん大きくなっていくでしょう。
放送と通信の分離といった見当違いな見解を持っていては、
世界の動きから遅れをとることになってしまいます。
まして、国・政府が介入することで、これらの動きを妨げるようなことがあっては
ならないと強く感じます。政府・役人の方にも、このあたりの考えを
見直していもらいたいものだと思います。
以上

 
さて、これを読んであなたはどう思いました?
「放送と通信を分ける意味って何?」と思われがちです。
そのとおりで、消費者側・あるいは広告主にとってみれば
なんら意味を持たぬものとなっています。
伝送経路つまり媒体が異なるだけで
情報が発信され受信されるという2つのプラットフォームは何も変わらんのです。
東京から福岡に行くのに、高速道路を使うか?鉄道を使うか?
これと一緒。
かつてのアメリカの鉄道会社は自分たちの事業ドメインを「鉄道業」と
かたくなに捉え続けたため、モータリゼーションの発達から発展したトラック業界に
敗れました。「運輸・輸送業」と捉えていれば、勝機はあったわけです。
この話、セオドア・レビットの言です。有名ですね。
さて。
放送局は「放送業」ですか?それとも「情報伝達業」ですか?それとも「コンテンツ制作業」でしょうか?
既存の経営者は誰もその答えを出さずじまいです。ネグっていますね。
歴史は様々な教訓を示唆しています。同じ轍を踏めば、必ず同じ失敗をします。
いつか日本の放送局は、かってのアメリカの鉄道業と同じ運命を辿るかもしれませんね。

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