これは食わねば

グルメ|温坐 鴨葱鍋

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ちと古い言ですが
「『不許葷酒入山門』(葷酒(くんしゅ)山門に入(い)るを許さず)」という言葉を知ってますか?
これは曹洞宗永平寺の入口をはじめ、全国各地の禅寺の入口に掲げてある言葉です。
葷酒の葷(くん)とは、ニラやネギ、ニンニクの類。ニオイや味が強く精力剤のひとつ。
酒(しゅ)は、言わずと知れた「酒(さけ)」のこと。
要は修行の妨げになるので、境内に入れるんじゃねー!と言ってるのですね。
とはいえ葷酒こそ美味のトップに立つものであり、同じく仏の道が嫌う殺生を伴う食こそ
究極の美味にたどり着けるわけで。
前置きが長くなりましたが、仏門から「喝!」を入れられそうな美味を先日味わったのです。
「鴨葱鍋を食べにきませんか?」というお誘いを受けたのは、
福岡市内にある超一流料亭「香津木」店長 香月康孝さん
むかーし、取材で数度お世話になって以来、なぜかとっても気が合うようになり
今はサシでたまに飲みに行く仲となりました。
鴨肉というと、火が通ったとたんに硬くなり、その味わいを十分に堪能できないという
ネガティブな印象がありました。しかも料亭にて「鍋」。
香津木という敷居が果たしてこの献立を認めるのか?
余計なお世話かもしれないけど、そんな一抹の不安を持ちながら店へうかがいました。
ところが。

出てきた鴨葱鍋。。。それはそれは上品でありながら、食べ応えがあり
今まで持っていた鴨に対する印象を見事に払拭してくれました。
ただ、香月店長からのお話を聴くと、その払拭に貢献しているのは
厳選された材料の数々と、料理人の手間隙だったから感銘を受けました。
まず葱。葱なんざ何でも一緒やろ!と思いがちな僕らですが、この鴨葱鍋には
鍋のベースから具材に至るまで5種類の異なる葱を使っています。
それぞれの特徴に分けた、切り方・火の通し方・食べ方・・・
さらに鴨。硬い肉と思っていた鴨肉が、とても柔らかい。
それはなぜか?切り方・・・いやふぐ並みの薄さだから「引き方」と言ったほうが
当てはまるかもしんない。そのスライスや芸術の域を超えています。
しかもさらに舌触りや歯ごたえをソフトにするため、一枚一枚に切れ目を加えているとか。
気が遠くなる・・・。

〆は雑炊。堪能しきりです。
料理は芸術と言い切るには、このくらいのコンセプトと行動力がないといかんな。
そうじゃないと、人様からお足を頂戴できない。
お金に余裕ができたら、是非一度ご賞味くださいませ。

それにしても。
この香津木という料亭は、福岡でも3本の指に入る名店。
行くたびに唸る。
それでも香月店長はボクごときに、「どこか改良点や意見はありませんか?」と尋ねる。
こっちが恐縮してしまうんだなぁ。
けど、意見することも信頼なのかもしんない。
こっちも真剣に五感をもって味わっていないと意見も言えない。
食べる側も真剣勝負。だからまたうまいんだよね。

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コメント

  1. ちさりん より:

    きゃ~おいしおそうo(^^)o
    福岡にいても 知らないところって多いものですね!
    お鍋の味を想像しつつゴクリ ああ~雑炊食べたい^^

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