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国籍別の人材採用ニーズの有無を調べている人が読むブログ

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よく都道府県庁の職員から聞く言葉があります

2017年頃から全国どこの自治体(都道府県)において異口同音に聞くのが「地元企業の大学生を、地元企業へ入れるための策を考えたい」という声です。これに伴い、それらの自治体やその自治体にある企業において「○○人ニーズ」なるものを聞く傾向があります。アジアフューチャー株式会社はメインに扱う韓国人人材の話が出ると、ほぼ決まってこういう回答が返ってきます。

地元企業に「韓国人人材のニーズがないんですよねぇ」

この声を聞くと「あぁまたか」と失笑をする筆者です。グローバルなりました。国籍を問わず事業展開を・・なんて格好いいことをいう企業や行政がある一方、ヒアリングはいつもきまってメディアや世論が構築する国ごとにある先入観に基づいた採用基準が背景にある回答ばかりです。そこでいつも筆者が返す言葉は

 

まさか「○○人を雇いたいニーズある?」という質問で調査した?

そもそも留学生や外国人採用のニーズを聞く際に「○○人のニーズ」という質問を投げかけた場合、以下の回答が一般的です。
└ 経営者が、ニュースや政治志向から「嫌いな国」には拒絶反応を示す
└ 技能実習生の対象国の場合は「安い労働者」「単純労働者」という視点でのニーズ有無の代弁として答える
└ 総じて外国人を採用する体制や意識、戦略がない企業ほど「採用人数」という点でのみ回答する傾向がある

そして「韓国人の採用ニーズありますか?」と尋ねたら、ほぼNOです。ほとんどの日本企業がそもそもそんな発想を持っていません。

会社にとって、そもそも「人を雇う」って行為は何なのか?

今更ですが、「人を雇う」という行為は、創業時に集めたカネを「ヒト・モノ・カネ・情報」という4つの経営資源へ経営者の判断に基づいて最適に振り替え、その資源の動きを通じて新たな「カネ」を回収してステークホルダーに配分するという活動を繰り返す企業の活動の1つにすぎません。

自治体は人口減少と税収減少が喫緊の課題であるため「雇用」が目的になっていますが、企業も個人も「雇用」は手段にすぎません。さらに言うと、日本の企業はえてして「外国人雇用」だけをみると、意外と手段ではなく目的としてとらえた行動を取る傾向が目立ちます。このあたりのボタンの掛け違いが、ミスマッチまでを引き起こしています。

 

外国人採用を行う前に会社へ問うべき10の質問

思考の順番つまり質問の仕方は「①現状把握→②課題抽出→③解決策提示」です。外国人労働者は③解決策です。目的と手段が混乱すると、ニーズの把握の段階で外国人という言葉を出してしまいがちですが日本企業の①②には外国人うんぬんとは異なる課題が浮き彫りになります。そこで以下の質問を自問自答してください。自治体や大学の方は、ここまで突っ込める関係が企業との間であるのなら、この質問を経営者へ投げかけてみてください。

【外国人採用を行うための10の質問】

 

  • Q1:現在の従業員人数、正社員比率、平均年齢、離職率に納得しているか?
  • Q2:過去5年を振り返って、採用計画と採用実績に乖離がないか?
  • Q3:Q1・Q2の回答がNOの場合、自社の課題・弱点は把握しているか?(人不足だから、人口減少しているから、等の外部環境を排除して回答)
  • Q4:日本政府が打ち出している生産性の向上を、自社としてどのように取り組んでいるか?具体的な取り組みを抽出してください。
  • Q5:Q4の実行進捗と達成予定期日を出してください
  • Q6:向こう5年での増収増益を見越した、具体的な事業計画を提示してください。
  • Q7:Q6を達成するために不可欠な経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)のうち、何がどの程度不足していますか?
  • Q8:(Q7のうち「ヒト」と答えた企業へ)具体的にどこからどんな人を何人をいつまでに採用しますか?
  • Q9:(Q7のうち「情報」と答えた企業へ)自社・顧客・競合のどの情報が不足していますか?その情報をいつまでにどの程度調達しますか?
  • Q10:Q1~Q9までの経営課題を、貴社の全従業員は把握していますか?把握している企業は、従業員に対してどのような情報共有と行動指針を打ち立てていますか?

さて、結果はいかがでしたでしょうか???

国への先入観を判断基準に人を雇ってはいけない

外国人採用を行うための在留資格取得に向けた必須条件は「当該外国人の言語圏との具体的な国際取引の事業計画」です。なんとなく人が足りない、生産性が低い、などの原因はその会社の稼ぐ力が落ちていることにあり、直接的な外国人採用の真の理由にはなり得ないのです。さらに言えば、そもそもそんな会社に優秀な人材は入社しません。それは技能実習生でも同様です。

技能実習生の市場だって、今や競合がいます。韓国やマカオが典型です。韓国もベトナム人やフィリピン人をどんどん招聘し、日本よりも稼げると謳っています。中国人はみな、日韓を見捨てマカオに行っています。日本企業はそんな現状も知らずに「安く使えそう」程度の甘い考えで採用をするから、結果的にミスマッチと関係の齟齬が生まれ、ベトナム人やネパール人の犯罪が増えるのです。高度人材は複数言語とITを操り、高い生産性があるわけですから、それにも関わらず受け入れる企業がそもそも斯様な人材を活用するための業務効率の追求や、従業員教育を施していなければ、早々と離職するでしょう。このあたりが、外国人採用に関する手段と目的のずれです。

 

もう一度確認しよう。目的と手段を履き違えてはいけない

厚生労働省や地方自治体では雇用そのものがゴールに見がちです。しかし雇用とは経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の調達の1行為であり、経営者の視点で考えると、銀行でお金を借りることと概念がさほど変わりません。大事なのは雇った後にどうやってそのヒト(人材)を使って、カネ(利益)に変えるかの計画と実現可能性なのです。この確認ができていますか?そしてその確認のための先入観を除いたファクトに基づく情報収集ができているか?

そこまで考えたうえで「韓国市場や韓国における複数言語対応可能な人材採用の必要性は一切ないか?」というニーズの有無判断を行ったのかどうかを確認してください。逸失利益を発生さえるどころか、先入観に基づく行動や言動をとることが失礼な態度に見え、信頼すら失ってしまうリスクがあります。とにかくファクトに基づいた賢明な行動をとることを心がけることを推奨します。
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