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高速船「ビートル」“失速”の理由は「日韓関係の悪化で、日本人乗客が激減」じゃないよ

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きょうの日経ビジネスのweb記事にこんなのが載っていました。。

高速船「ビートル」、“失速”の理由

どんな内容だろうかと、原稿を読みましたが、これ取材+分析したんか?という
かなり思い込みの激しい記事にびっくりしました。

いちいち批判なんかする気もないので、地元の福岡にいてわかるミクロな視点と
データをきちんと分析したマクロな視点で、現状を再確認してみたいと思います。

まず高速船ビートルとは?
福岡⇔釜山を2時間55分(時速80km)で結ぶジェットフォイルです。
現在は韓国の未来高速とのコードシェアです。(日経ビジネスの記事はここも間違ってる)

日本側の収益はJR九州、韓国側の収益は未来高速に入ります。

で。問題の乗降客数。下のデータをご覧ください。
円ウォンレート推移・ビートル乗降客数推移

★高速船で渡航する顧客のメリットは日韓双方とも以下のとおり
○航空機と比較して、寄港地の立地が都心に近い(釜山のみ 福岡は同等)
○荷物のオーバーチャージの基準が緩い(大量買いの顧客に都合がよい)
○液体物搬入の規制が無い(買い物客にとってメリット大きい)
○季節に応じた増便が比較的簡単

★高速船で渡航する顧客のデメリットは日韓双方とも以下のとおり
○欠航リスクがある
(風に弱い 現状では波が3m超だと欠航する傾向にある それでも就航率97%くらい)
○船内でやることがない割に、3時間がなんとなく長い(パソコン作業などに不向き)
○船酔いする人は、ぶっちゃけ無理(そんなに揺れませんが、弱い人は苦手だそうで)
○夜間便が無い(高速船舶は日中のみの運行)

事実、私がビジネスで渡航するときはどうしても航空機の使用頻度が上がります。
つまり、「買い物客」が利用する確率がとても高いわけです。高速船は。
従って「買い物にメリットが無いなら、渡航に使う可能性が低い」のです。

ゆえに為替の動きに大変左右されます。
2つのグラフの形がなんとなく似通っていると感じた方もいることでしょう。
統計学では、これを「相関」というもので数値化し、散布図で可視化します。

為替・乗降客数 散布図 1991-2013

為替・乗降客数 散布図 1991-2013

渡航者数は日本人のみ。レートは日本円を100円とした時のウォンの価格。
大きい数字ほど円高ウォン安、つまり日本人にとって有利な金額になっています。

で、その2つの相関係数は0.56 やや相関ありです。 ? そんなもん?と思う方もいるでしょう。
そこで以下をご覧ください。

為替・乗降客数 散布図 1991-2010

為替・乗降客数 散布図 1991-2010

実は2010年までで区切ると、この2つのデータの相関係数は0.69 約0.7
0.7以上は「強い相関」です。つまりめっちゃ関係があるわけです。

で、直近の3年に何があったのか?つまり為替以外の別要因が加わって乗降客数が動くようになったのです。
原因1)LCCの参入 2010年3月~ その後も便数増加
原因2)東日本大震災 2011年3月  日本の自粛ムードと韓国側の放射能風評
原因3)セウォル号事故 2014年4月  韓国側の船舶利用者減

まず韓国側の原因は、便の動きを減退させるため、間接的に日本人渡航客数にも影響します。

そしてLCCの参入の勢いは著しく、エアプサン、チェジュエア、tway航空などが
福岡空港に乗り込んでます。ちなみに航空機なら福岡-釜山は30分 ソウルまで55分です。
スターフライヤーの北九州ー釜山は運航中止、最近では佐賀空港-ソウルでtwayも飛んでいます。

つまり、日本側から見れば、韓国への渡航者が目的地として釜山だけを選ばなくなった。
さらに、ビートルじゃなくてもLCCでビートル並みか、それ以下の予算で
渡航できるようになった。。。。

わけです。
選択肢が増えたんですよね。これは市場の競争が激化し、コスト競争も起こっているからです。
これが万が一、日韓関係が云々というならば、便数がすべてにおいて減り、渡航者が他地区へ流れる
現象が起こっているはずです。

ゆえに、今後船舶が差別化戦略に勝ち残るには、
「買い物客の誘引」とそのための街中の皆さんとのアライアンスが重要です。
日本では2014年10月から輸出物品販売場に関する規制緩和が行われて
基準が改正されます。このあたりにヒントがあるのではないでしょうか?

まぁそういうわけで、きょうの記事には、超びっくり。もうちょっと、まともな取材と分析してほしいもんです。
東京にいると、特にアジア向けの情報発信って思い込みがベースになっているケースが散見されます。
この記事にもラストに
「訪日する韓国人の複雑な心情」という小見出しがあり、インタビューでもしたのかと思いきや・・・
「日本は大嫌いだけど、好き――。そんな複雑にねじれた感情を抱いているのだろうか。」

という推測(勝手な思い込み)の一文のみ。 はぁ?って感じですわ。

元メディアの人間として、現状でのメディアの取材力や構成力の低下を感じた7月1日でありました。

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