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インバウンドで集客を団体客に依存する危険性を考える

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個人客の評判は総じてよい。団体客の評判は総じて悪い。

韓国からの訪日客は、いまや9割以上がFIT(個人旅行客)になり、以前のように「マナーが悪い」だの「うるさい」だの、さまざまな不満や不安、クレームを聞かなくなりました。ある1か所を除いて。。。

長崎県対馬市に来訪する韓国人は、半分以上が団体客

過去のトラブルもほとんどが団体客が引き起こした

対馬市は、元来来訪している顧客の半分以上が団体客です。一部の団体客には旅行会社から派遣された(と言っても所属はフリーの)ガイドが伴うケースがあります。これらの団体客が対馬で取る行動に対して、かつてから問題視されていたことは、このブログの読者もどこここで聞かれたことがあったかと思います。

こちらの写真は、対馬島内にある和多都美神社(わたづみ)神社で宮司さんがfacebookにアップロードした写真(一部修正)です。実は神社内の灯篭の一部が壊れており(というか、おそらく韓国人客が触って壊した)、この危険を周知するために、赤色コーンを設置していたところ、そのコーンを逆さにした上に足蹴にするという、極めて非常識な写真を撮っていたというものです。このような常識はずれで、しかも無礼な態度を何故彼らが取るのでしょうか?それは団体旅行客特有の群集心理に根付くものだと想定できます。

群集心理とは何か?

フランスの心理学者、社会学者であるギュスターヴ・ル・ボンが、群集心理の研究の第一人者でもあります。彼が提唱するところの群集心理にまつわる4つの特徴があります。(1895年刊行「群衆の心理」より)

1.道徳性の低下
2.暗示にかかりやすくなる
3.思考が単純になる
4.感情的な動揺が激しくなる

その後、イギリスの心理学者 W・マクドゥーガルが群集心理の特徴として
(1)過度の情動
(2)衝動性
(3)暴力性
(4)移り気性
(5)一貫性の欠如
(6)優柔不断
(7)極端な行為
(8)粗野な情動と情緒の表出
(9)高度の被暗示性
(10)不注意性
(11)性急な判断
(12)単純かつ不完全な推理
(13)自我意識・自己批判・自己抑制の喪失
(14)自尊心と責任感の欠如による付和雷同性

などを抽出しています。この辺りのキーワードを読み解くと、決して許されることではありませんが、対馬の神社で、韓国人の団体客がなぜ写真のようなモラリティの低い行動を取り続けるのか?の背景が理解できると思います。

対馬はまだまだ団体客が多い

敢えて言えば、「団体客に依存をしたことの弊害が、ブーメランのように自分の街に降りかかっている」姿が見て取れます。ただし厄介なのは「対馬」という島で起こっているこの事象において、(仕組み上、まずあり得ませんが)神社自体が単独で儲かっているのなら「収益⇔リスク:双方合わせ持ち」として受け入れられる話でしょうが、儲かっているのは島内の他の施設(飲食店や小売店、宿泊施設など)であり、神社の方々がモラリティの低い団体客の受け皿だけになってしまっていることが、この問題の根深さを現しています。

団体客は折衝がハード 態度も傲慢なケースが多い

さらに韓国からの団体客とこれを取り扱う旅行会社は、
(7)極端な行為
(8)粗野な情動と情緒の表出
(13)自我意識・自己批判・自己抑制の喪失
などの特徴からも予測できますが、旅程の料金を「タタキ」に来るケースが多いです。

つまり異常なほど安い料金を出すことを強要してくるものですね。これを受け入れると特にダメージが大きいのが宿泊施設です。付加価値がほぼ減ってしまうので、将来の投資を行うためのフリーキャッシュフローを得ることができず、結果的に施設の改築や、法令に基づいた改善などができなくなるのです。そうすると一体何のために営業を継続しているのか?すら分からなくなるほど、施設と人員が疲弊します。さらにこんな質の悪い客が増加するに加え「客として来てやっている」だの「金を払ってやっている」などの暴言をよく耳にします。単価の安い団体客はいつもこのような振舞いや交渉をしにくる恐れがあることを、常に知っておく必要があります。

団体客は、外部環境の急激変化や、世の中の空気、扇情的なニュースにも弱い

さらに団体客は2.暗示にかかりやすくなる+3.思考が単純になる+4.感情的な動揺が激しくなる という特徴から、マスメディアがあおるニュースにも非常に左右されやすくなる傾向があります。

現在、韓国で起こる不買運動の影響が最も出ている町が対馬でもあります。影響を受けた最大の理由は「『ニュースや空気に影響されやすい客』ばかりを囲ってきた」からにほかなりません。では『ニュースや空気に影響されやすい客』とはどんな客か?団体客ですね。

対馬を訪れる団体客が扇動されて渡航を止めた事例は、今回だけではありません。2011年の福島原発事故の時も同じことが起こりました韓国から40kmしか離れていない対馬において、1000km以上離れている福島県の影響をさも受けているかのような発言やニュースが次々と韓国で飛び交いました。

日本人の常識的観点から見れば「馬鹿じゃねぇの?」と言いたくなるほどの話ですが、それでも! 日本だから危ないと、一部の人が言い放ち、福島県は離れていると言ったところで、延々と放射能問題を声高に叫んで、日本渡航をするな!とキャンペーンを張っていた輩が韓国には存在しました。結果的に2011年は来訪者数が対馬ですら激減したという事実があります。

結局、2011年から、今回の2019年までの間において、対馬など団体客が多いエリアは「客層を変える戦略」を打ってこなかったわけです。その結果が、今回の不買運動に伴う、来訪者の大幅減なのです。

来訪者数が減った今、何をすべきなのか?

不買運動の空気が韓国に蔓延し、日本国内への旅行へ行くことを否定する空気が出始めている、2019年8月において、事業者は何をなすべきか?まずはこれを整理します。

①単価を上げて、団体客を減らす
特に実施すべきは対馬のように団体客が多かったエリアです。来訪希望者がどれだけ増えようとも、宿泊の供給ができないのであれば、旅程は成立しません。顧客数が減ることを恐れるくらいなら「今、来ていない現実」を受入れて、来訪者数が上向き始める時期が再度やってきても、決して安売りをせず、地域一丸となって価格を管理することが推奨されます。

②個人客の確保に向けた、受入態勢と商品造成に着手する
「団体客を取らない」ということは、すなわち旅行会社に依存せず、顧客との直接的ルートを構築するための準備を整える必要があるのです。顧客との直接的ルートの構築は「オンラインによる情報発信・交流ができる状況を作り出すこと」です。

③「顧客が来ている事実」をSNSなどに情報をアップしつづける
来訪者が多数来ているときは、すべてのお客様がブログやインスタグラムに情報をアップロードしていました。それは自己実現欲求や承認欲求を満たすための顧客の行動でした。しかしながら、不買運動が起こる今は「こんなご時世に日本で遊んだとオンラインで表現しにくい」という空気が韓国に蔓延しています。であるならば。今こそ、各日本の施設や店舗は「自社でのインスタグラムの運用」を開始すべきです。もちろん韓国語で。そして、来訪した顧客の「後ろ姿」でよいので写真をたくさん上げましょう。匿名性を担保しつつも来訪者数は相変わらず多いというファクトをオンラインで演出するのです。すると「あれ?意外と人が行ってるじゃん」という空気が徐々にできはじめます。どれだけ不買運動だのなんのと言ったところで、「裏切者(笑)」がこれだけ居るなら、自分だけ真面目に不買しているのが馬鹿らしいと思うでしょうね。私たちの力で頑張って「裏切者(笑)」を増やし、そして増えているという「空気」を作り返してやりましょう。

①~③は、自社の付加価値を増加させるための大切な手順です。顧客が多い時はできない、この作業を今こそやる必要があります。団体客の一斉キャンセルで煮え湯を飲まされた方は、今を契機と捉えて、リモデルを図りましょう。

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