「SIU?」聴いたことねぇなぁ・・・と思う言葉です。
その通りで、これは業界内の略語。
正式名称はSet in Use(セット・イン・ユース)と言います。
視聴率や聴取率を計るにあたり、よく各局・各番組の率が話題になりますが
マーケティング上 重要なのは「セット・イン・ユース」。
で、何なのか?それって・・・。
簡単に言えば、全人口に対する、その媒体に接している人の割合。
つまり視聴率50%であろうと、そのパイが1,000,000人中100人だったら、
1,000,000人中のたった50人しか聞いていないというわけなのね。
つまり「セット・イン・ユース」は「媒体の価値」「媒体のチカラ」そのものを表すもの。
「セット・イン・ユース」が下がっているということは、媒体への無関心の度合いが増えた証拠。
簡単に言うと、ラジオの場合 野球のシーズンよりオフシーズンの方がセット・イン・ユースは下がる。
ナイター以外は聴かない!って人がいるから。
さて、なぜこの話題を出したか?
以前 「特別な1週間」というわざとらしいタイトルでブログを書きましたが、
ラジオの場合は聴取率調査を行う週があります。地区でその週や回数は異なりますが。
で、当然調査結果の中でセット・イン・ユースも露わになります。
今回の福岡でのラジオ聴取率調査の結果を見て驚いたのは、
野球シーズンにも関わらずセット・イン・ユースが大幅に下がっていたこと。
これってかなり危機的な状況だと思う。
ついでにもっと驚いたのは、社内の公の席において誰もこの話題を上げないこと。
気づいていないのか?知ってて言わないのか?自分の会社の責任でないと思っているのか?
セット・イン・ユースが下がっていても自分の局の番組は聴かれていると思っているのか?
まぁ、とにかく!つまりはAM・FMを含め、福岡圏内におけるラジオ聴取者が減ったんですね。
関心を失われている媒体、それがラジオ。
どれだけ「聴取率獲得!」とか「2位!」とか各局が叫ぼうとも、まさにそれは「井の中の蛙」。
セット・イン・ユースの低下⇒媒体の効果の低下⇒クライアント信用の低下 につながります。
やれやれ。
で、クライアント信用の低下⇒値切り・過剰サービスの増加
⇒番組の質の低下⇒セット・イン・ユースの低下⇒・・・・
というスパイラルに陥る恐れがあります。っていうか、すでにそうなっているかも。
これって危機的状況。
にもかかわらず、どの局も社内ですら「この時間帯で聴取率が増加しました!」という
マスターベーション的な反省・分析を行っています。
誰のための、何のための反省・分析なのか、全くわからない・・・そんなことがまかりとおっています。
TBSラジオがチカラをつけて、聴取率奪還をした一番の理由は分社化。
分社で唯一成功しているのはラジオ。
分社・出向をするにあたり、新取締役はひとり一人に面接をしたらしい。
面接の質問はただひとつ。
「お前はラジオが好きか?嫌いか?」
「好きです!」と明確に答え、理由や理想を言った人間だけが残ったそうな。
嫌い=無関心 または 媒体価値なし って思っているってことでしょ。
媒体の価値を信じていない連中がラジオを切り盛りしても、ラジオはよくならないというわけ。
それはどの局も同じ話。
派閥や人間の好き嫌いみたいな狭い考えでコンテンツはよくならないもんな。
「私怨を超えて大儀を取れ!」 自分の会社でもそうやってみろ!って言ってみてーなぁ。
どうせスポイルされるだろうけど。
あーあ、今のままだと、ボクも嫌いになりそう。ラジオを。
きょうもタクシーに乗っている時に聞いてみた。
運転士がどこの局を聞いているかを調べるのが重要。
社の名前を出して車の予約をすると、気を使ってウチの局を付けているけど、
しれっと乗ると本音が出ている。
やっぱりNHKだった。
またしても子どもの勝利・・・。