放送局裏話

ラジオ業界解説|ラジオは何故面白くないのか?(2)

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さて、こうやって書いている間にも台風16号君がジワリジワリと近づいています。この台風情報をどうやって知っているでしょう?

テレビかネットがほとんどでしょうねぇ。こまったもんだ。

 

きのう書いたブログに書き込みをいただきました。

以前一緒に同じ会社でラジオに携わっていた方。書くことに含蓄があるので、ぜひご一読を。んで、「ラジオは情報が命!」と言ったことと、「いやいや、ラジオは音楽を人々に伝え、人を癒す媒体ではないのか?」という考えが合致するのかどうか?それとも対峙する意見なのか?

 

実は合致します。

 

何でか?それは「かける音楽も情報」だからです。ただ音楽をかければいいわけじゃないんです、ラジオって。エリアにいる人の、その日・そのときの気分や心情、天候や経済状況などを踏まえて、どんな音楽をかければよいのか?研究・吟味を放送局はしないといかんの。

 

あなたのCDラックを見てみましょう。私たちの音楽の知識やカテゴリーはひとりひとり、とても狭いものです。どんだけCDを持っている人も、自分のキャパの狭さにある日気づいたことがあるかと思います。そんな「新たな音楽との出会いの場」を提供し、人生を楽しくする人。。。それがDJ(ディスクジョッキー)でなければならないのです。

 

そしてその下地を作るディレクターの選曲。音楽を丁寧にかけるミキシング。どこここにも、すべてプロの技、誇りが必要なんです。

それはAMもFMも同じこと。聴いてくれてる人を想像し、どんなことをしゃべれば聴いている人が「この音楽っていいなぁ」と思ってくれるか?客観的な情報から主観的な情報までテンポよく織り込んであげることで、CDやDVDとは違った、ひとつのコンテンツがそこに形成されます。

昔はそんな番組の魔術にかかって、僕らはAMでもFMでも番組を聴いていました。それでレコード店にかけこんだ音源はありませんでしょうか?そんなプロの技がラジオにあったからこそ、レコード会社は新譜を局に持ってきて、歌い手さんを連れてきて、PRしようとするんです。

その席のDJって「今年もいい酒できました!」って新酒を紹介する、吟味役、ソムリエのよう。それがラジオの存在意義だったはず。吟味役、ソムリエの言って、やっぱり「情報」でしょ!?

まさに騎手のように音楽から音楽をまたがって操作するディスクジョッキーの存在が、今消えてる。育ててない。そんなとこでしょうか?面白くなさの理由のひとつは、結局のところ「局の手抜き」かな?即戦力に頼りすぎたツケが今、回ってきています。

 

で、「とりあえず音楽をかけておけばよい!」ってな感じで、「more music less talk」の本当の意味を履き違えて、現場に指示を出す
ラジオ局の上層部が、いま実はラジオを壊しています。しゃべりが下手だから、「しゃべんな!」という指示。もうむちゃくちゃ。

 

「more music less talk」とは文字通り、音楽をいっぱいにしてトークを減らせ!ということ。こんなことが言われるようになった最たる原因は。。。「音楽を大事にしない放送・番組が多い」「聴取者にとって面白く的確な音楽に関する情報が少ない」

そして「それ以上にトークがつまらない」 からです。ボクはそう分析しています。

 

ボクがラジオの現場にいるとき、楽曲は極力フルコーラスでかけていました。当然です。音楽を作っておられる方々に対して失礼ですし、
肝心のリスナーは音楽を最後まで聞きたいという潜在的な欲望があるはずです。完成された音楽には「プロの完成度」が詰まっています。
ボクは放送で声を出す、すべての人間にこう言っていました。「あなたのトークに、各楽曲と同レベルの完成度がなければ、あなたのトークを優先してまで楽曲をかける時間を減らすなんてことはしない」ってね。

かなりキツい言葉ですが。。。でもプロって、そんなもんでしょ。今、AMラジオの場合、楽曲は時間調整の穴埋めで使われているのがほとんど。

 

そして、ダラダラとして内容のない、本当につまらないトークが多い。そうかと思うと、無機質な生CMの連発。聴く気が失せてきます。
ご協賛賜ったスポンサーの方々にとっても失礼な放送ですね。

 

「more music less talk」の本当の意味は、ボクが思うにリスナーの潜在的な欲望を十分に満足させるくらい、音楽を聞かせるゆとりがありわずかな隙間に、最少の言葉で最大の情報を吹き込めるDJによる。。。そんな番組作りをしろ!ということじゃあないかなぁ。

 

ときにしっとり、ときにリズミカルに。リスナーの今の状況・・・たとえば働いている、運転中、寝る前、朝起きてすぐ、などなど

 

そんな聴取状況を、より快くさせ、なおかつ ためになる、なおかつ 共感させる。これが理想でしょ。

 

つまりラジオは音楽だ!ラジオは癒しだ!というのは、行き着く先のゴールであり、作り手にとっての「手段」じゃないっちゅうことじゃないかな?うーんだいぶ難しい話になってきた。ただ、わかってもらいたいのは、このくらい毎日真剣に考えて番組を作っています。現場っちゅうとこはね。じゃないとプロじゃないと思うの。で、今そのプロが激減していることが、悲しい現実なのです。だって誰もラジオを聴かないから・・・。

 

ちなみに。ボクはラジオの現場にいたときに、どうしても放送したいけどかけられない曲があった。それは「We are the world」  song by USA for Africa なぜか?それは曲の時間が長いから。実に7分以上。途中までかけることはできない。それはボクのこだわり。この曲に省略するような箇所は全くない。すべてが完璧。さまざまな歌い手の声はすべて素敵だが、これをすべて紡いでいったクインシージョーンズの妙技をすべて聴かないと、この曲のよさは伝わらない。で、ようやく放送することができた。

 

深夜4時。クリスマスの特別番組の放送中の1時間を、とあるコーナーで括って成立した。そのコーナー名は「長い歌特集」。。。
でも、聞いていた数少ない人からは、結構反響があったので面白かった。ははは。

 

 


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コメント

  1. ラジオ被害者 より:

    ラジオがつまらない最大の理由はメールを出しても番組で読みもしないから

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