放送局裏話

ラジオ業界解説|番組制作の裏側(4) ラジオとインターネット

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ラジオの番組を放送・広報・企画展開するにあたり、僕個人が「インターネットをフル活用しよう」と提案したのは、今から5年前の2000年のことでした。

その当時、ようやくワープロからパソコンに社内の機材が移行したころだったため実際かなりの反発を食らいました(僕の会社での導入が遅れてただけ。巷はPC一色だった(恥))。

つまり「テキスト化」自体がそもそも面倒と言われ、デジカメで写真を撮るのが面倒と言われ、それをアップロードするのが面倒と言われ、以上一連の更新作業が面倒と言われ、ギャラは出ないのか?と言われ、代わりに誰かやってくれる人はいないのか?と言われ、これらすべてを「しゃーしか!ごちゃごちゃ言わんとやれ(怒)!」と怒鳴り上げ、無理やりさせていました。

すると。

わずか1年強で、各ラジオ番組がHPを持ち、更新作業を繰り返すことが「当たり前」となりました。

今ではHPの立ち上げをすることが常識となり、リスナーの要望も増しました。このころ、僕がラジオとネットを連動させたいと考えた理由は3つありました。

1) 「ラジオ」でなく「番組という『コンテンツ』」にリスナーが触れる機会を1日2回にしたかった
つまり、生活時間である午前の番組だったので「聴き流し」しがち。
「あのアレは何だったのかな?」という淡く穴だらけの記憶を、埋めることで理解を深めさせ
翌日以降の企画に、よりどっぷりとハマらせることがが狙いだったのです。
この作業を夜の遅い時間、リスナーにさせることで、翌朝のラジオ聴取を誘う。。。という
「積極聴取者の増大」を狙っていました。

2) ラジオと同時進行でコンテンツが動く「携帯サイト」の魅力を出したかった
例えば出題したクイズの問題を、すかさず携帯のサイトに掲載。
聞き逃した人、認識がしっかりできなかった人を補完し、なおかつそのサイトからすかさず
「参加」できる窓口を作ることで、参加者にすかさず双方向の面白さを享受させることが
狙いだったのです。つまり「ラジオの生放送と携帯サイトは連動できる」と踏んだのです。

3) サイト検索により、コンテンツの面白さからラジオ聴取を増やしたかった
面白いコンテンツを発見⇒何だ?⇒ラジオだ!⇒では聴いてみよう!
という流れ。

「ラジオを聴く」というきっかけ作りは、コンテンツの面白さなくして不可能と思ったわけです。
野球・競馬という気になるスポーツ、ニュース・天気以外でどんな番組をやっているか、
普通の人は知る由もなく、新聞のラジオ欄では訴求効果が薄い。
ので、ネットにコンテンツを立てることが重要と思ったわけです。
確かに、この狙いはある程度成功したと思います。自分で言うのもなんですが。
習慣化させることで、長期聴取を促せるのですよ。。。。。そして時は過ぎました。

ところが。。。
時代は過ぎ、今は2005年。僕の勤めます会社のラジオHPを覗いてみると。。。
5年前と手法が何も変わっていない_| ̄|○

見た瞬間に「マンネリ化」を感じるわけです。
⇒企画モノは、写真1~2枚+コメント。読みたくもない。しかも更新が遅い。
⇒パーソナリティの日記。マメに更新しろよ。まともな事書けよ。
⇒コンテンツに動きもない。情報としての価値もあまりない。

ひどいのになると、昨年夏で終わった企画がまだ載ってる。誰が見るんだ?
数秒見て、もう見ないな。。。という感じ。人気番組と言われる番組のサイトですら
まぁその程度。つまりネットの世界においての新しい試みが、全くないのです。
その「コンテンツのマンネリ化」ゆえに、今月でお取り潰しになるスポンサード企画もあるとか。
情けない限りですな。

新番組や特別番組の告知にいたっては、まるでチラシがそのままWEBに載っているかと見まがうほどのデザイン。こんなのいるのか?本当に。。。
通信速度やインフラが飛躍的に伸び、一方でメッセンジャー・blog・スカイプ・mp3などなど数々のすばらしいIT技術が、この5年で生まれているにもかかわらず、目新しさは何もない。これは僕の勤める会社に限ったことではなく、おおよそのローカル局のラジオサイトはみな同じ傾向が見受けられます。

多分、現場の言い分は・・・
「そこまで手間をかけたくないし、予算も人もない」
「聴取者層がそこまでHPを閲覧しているとは思えない」
「特段飛躍的なレスポンスはない」
ってとこでしょうか?日時ごとのページ・パー・ビュー分析すらしとらんくせによく言うわ。

今や音楽をmp3で聴く時代ですよ。mp3自体をよー知らん人ばっかしですけど。放送局は。。。
これらネットをはじめとするITへの興味関心を持たないところが、実はラジオ業界の弱さかもしんない。
巷の人たちの情報入手方法や、音楽への接触手段などを研究せずに漫然とラジオと接しているツケが今、回ってきているみたいなのです。

今や放送局は「夢を売る会社」でなくなりつつあるようです。
巷の夢や希望に背を向け、既得権益と過去の媒体力にすがろうとする蜃気楼集団になっているかもしんない。
そんな姿を、ホリエモンは許せないんだろうな。これが、ニッポン放送買収に繋がったとすると頷けるのは僕だけではないはず。

ちなみに。
ラジオ番組の情報をサイトに掲載し、あちこちを面白さで一杯にしておくと、意外な反応があります。

かつておどろいたのは、東京のラジオ営業マンが某クライアントから呼び出され、何だろうと思うと番組への問い合わせと相談があったそうな。
つまりラジオっちゅう電波媒体は限られたエリアのものですが、こいつをネットへ掲載すると全国からのアクセスが当然発生し、番組の性格や内容を詳細まで知ることができます。そしてそれが売上を生む可能性も孕んでいるとは、なんとも面白い。自省の念もこめて、もう一度ラジオってどうするべきか?

そしてラジオはスポンサーに何をどう提案すればよいのか?今、必死で考えています。媒体の価値、コンテンツの価値をこれ以上下げることはできない。
ラジオの魅力をスポンサーや聴取者に、企画やコンテンツをもってきちんと伝えなければ。これ以上情けなく廃れた媒体にはしたくない。これでもまだ誇りを持っているんだな。なぜならば。4月1日から僕は「ラジオの営業」を担当することになったから。

 

 


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コメント

  1. おーくぼん より:

    テレビ業界はネットを軽く見てるけど、ラジオもそうなのか。
    確かに遅れてるもんなぁ、そっち系の事に関して。
    舐めてるって言っても良いだろうけど。
    まぁ「ネットが有るのが当たり前」という子供らが大人になった時に 色んな所で勢力地図が塗り替えられるような気がします。
    PS
    ももち浜の低い方のビルの局では 夕方の番組時に
    パソコンでOAを見ながら、店の外観の所でキャプチャ-した写真と店名と出てきた食べ物などの名前と電話番号をサイトにアップする事を担当している人が居ます。
    あれは効率良いうえ リアルタイムで更新出来るので素敵なやり方だと思うわ。

  2. Kaz より:

    私は某クライアント側になるのですが、ラジオ局の媒体資料は余りにも情報が曖昧。
    視聴率と比べ聴衆率の取り方も聴衆者の記憶に拠るところが多く信用できない。
    (聴衆率調査期間になると突然、番宣が多くなるのが良い例。)
    ラジオ世代の私としては出稿したくても、今ある資料ではとても上を説得できない。
    その補完資料としての情報収集にNETを使うのは有りのように思う。
    お願いだから安心して出稿出来る資料を作って欲しい。
    聴衆率を上げるのは勿論ですが、電波料を払うクライアントの気持ちも汲んでください。

  3. ippei より:

    >Kazさま
    ありがたいお言葉です。
    まさにこのような声を仕事に反映せねば。
    本当にありがとうございます。
    >おーくぼんさま
    要領のよいやり方ですねぇ。
    ウチだと、またどのセクションがカネ払うか?で
    もめて、結局やらないこと必至ですね(^^)ゞ

  4. RUKA より:

    確かにマスコミのサイトってつまらないものが多いですね。
    「あ、この番組面白いな」「この情報後で見てみよ」「パーソナリティのこともっと知りたいな」と思っても情報が貧弱、更新もろくにしていない、というのが大半です。
    アレですかね、「テレビ見るときはメモ帳とペン持って見ろ!」とか、「ラジオ聞くときは一言漏らさず集中して聴け!」ってことなんでしょうか(笑)
    これまでのブログ見てて、ippeiさんならなんかやってくれそーと思いますが、なんせここは横浜。残念。

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